2022

SUBARU WRX STI、無念のリタイア

RESULT

RESULT
SP3T CLASS-
総合-
DRIVERS
  • VAN DAM CARLO
  • SCHRICK TIM
  • LASEE MARCEL
  • SASAKI KOTA

DETAIL

5月27日から29日にかけてドイツ・ニュルブルクリンクにて開催された第50回ニュルブルクリンク24時間レースで、SUBARU/STIチームからSP3Tクラスに出場したSUBARU WRX STI(カルロ・ヴァン・ダム/ティム・シュリック/マセール・ラッセー/佐々木孝太)は同クラス7度目の優勝を目指して挑戦しましたが、レース中のクラッシュによるダメージが修復不可なものと判断し、リタイアの決断をしました。

27日金曜日に行われた公式予選3回目ではSP3Tクラス1位、総合順位58位を獲得し、クラスポールポジションで24時間レースをスタートします。スタートドライバーのヴァン・ダムは速いペースで上位を追い上げシュリック、ラッセー、佐々木へとバトンを繋いでいきます。
コース上ではクラッシュによるダブルイエローやコード60が連発されていましたが、WRXはコンスタントに周回数を重ね順位を上げ、10時間が経過した午前2時には総合38位まで順位を上げました。

午前3時まで10分の時点で突然佐々木から無線連絡が入りました。「長い下り坂を6速全開で降っている時にタイヤが突然バーストして、右側のガードレールに当たってコースの左側に止まりました」。場所は、6km地点先の左コーナーです。

午前5時過ぎにドライバーの佐々木孝太がパドックに戻り、ほどなくレッカートラックに乗せられたWRX STIも戻ってきました。
車両は、フロント両輪が特に激しく損傷しており、また右後輪もサスペンションアームが曲がっていました。アクシデント発生時には250km/h以上の速度が出ていたため、佐々木が無傷だったことは幸いでした。

ボディ右側をガードレールにヒットした際、フレーム部分にダメージを受けており、レース中の修復は不可能と判断。チームは、残念ながら朝6時前にリタイアを決定しました。

辰己英治総監督のコメント
「あのクラッシュについては、左フロントのハブとサスペンションアームを繋ぐボールジョイントが疲労破断したことによるホイールのバーストが直接原因です。現在は当該部品を製造メーカーに送って解析してもらっている最中ですが、結果的に同部品の強度が不足していたことに起因するアクシデントに間違いはありません。クルマの全体を預かる私の責任です。期待されていたSUBARUファンの皆さん、サポートしていただいたパートナーの皆様にはお詫び申し上げます」
「しかし、(今年のレース参戦から)収穫もあったのは事実です。80kgも車重が増えていながら、スピードを維持できたことがまず挙げられます。これは、タイヤ幅拡大の条件としてレギュレーションで最低車重増が定められていますが、それを積極的にフレーム補剛に使えるチャンスだと捉えました。80kgの重量配分としては、フロントに36kg、リアに44kgであり、バランスの良い補剛ができたと思っています。ラップタイムを見る限りこれは正しい判断であり、今後のクルマ作りに活きてくると言えるでしょう。
一方、車重増とタイヤのサイズアップによるタイヤ内圧管理やスプリング定数セレクトの難しさという課題もありました。アンジュレーションやジャンプなどのある北コース(ノルドシュライフェ)でしか再現できない課題であり、ここからも新たな学びが得られました。次世代につながる良い機会だったと思います。SUBARU/STIでは、今後もNBR活動を通じて技術開発や人材育成に尽力していくつもりです」

MACHINE

ベース車両
SUBARU WRX STI
全長/全幅/全高/
ホイールベース
5,120mm / 1,900mm / 1,395mm / 2,700mm
車両重量
1,300Kg
エンジン
EJ20 BOXER DOHC 16バルブ AVCS シングルスクロールターボ
総排気量
1,994(cc)
最高出力
/最大トルク
250kw(340PS)/5,500rpm 461Nm(47kgf・m)/3,000rpm
トランスミッション
6速シーケンシャルギヤボックス+パドルシフト
クラッチ
小倉クラッチ製 メタルクアッドプレート
サスペンション
フロント : ストラット / リヤ : ダブルウィッシュボーン
タイヤ / ホイール
FALKEN / BBS製18x11J
ブレーキ
フロント:6ポット / リヤ:4ポット